鈴木光司さんを取材

90年代、「リング」で空前のホラーブーム巻き起こした作家・鈴木光司さん。「貞子」は社会現象にまでなり、国内だけでなくハリウッドでも映画化されました。
この日はホテルクラウンパレス浜松での講演会前に、特別に取材させていただきました。

光司さんは浜松市出身で、もう23年来のお付き合いになります。96年、私がまだタウン誌の編集者だった頃、「らせん」で吉川英治文学新人賞を獲ったときに初めて取材して以来、すっかりファンになりました。いわゆる気難しくて暗いイメージのある日本の作家とは180度違う、豪快で、たくましく、ラテン系で、「こんな小説家が日本にいるのか」とびっくりしました。その一方で、ものすごく論理的に物事を考える人で、無駄なことが大嫌い。一見大雑把に見えて、実はどんなことも合理的に進めるという面も持ち併せている人です。

こんな仕事をしていながら、それまであまり本を読んでこなかった私が、読書の面白さを知るきっかけになったのが「リング」とその続編「らせん」でした。
その後も、新刊が出るたびに感想文を手紙にしたためて送り続けたのですが、光司さんは必ず年賀状にお礼のコメントを書いて返信してくれたのです。そんな私の想いに応えてくれようとしたのかわかりませんが、文芸誌「オール讀物」の短編に私を実名で登場させてくれたこともあります。

さて、講演会は200人を超える大盛況。しかし、その後のサイン会で並んでくれたのはわずか20人ほどでした。改めて出版不況の現実を思い知らされました。光司さんの作家仲間でも、小説だけで食べていけている人はごくわずかで、直木賞作家でも本が売れなくて出家した人さえいるそうです。

サイン会のお手伝いをさせていただいた後、ホテル地下の駐車場で光司さんの愛車クラウンを発見! ライトブルーのクラウンなんて、見たことあります? なんと25年前から乗り続けているそうです。「近所のトヨペット本社にTシャツ、短パン姿で買いに行ったんだけど、営業マンが誰も近寄ってこないんだよ(笑)。で、いきなり「これ、ください」って言って。値引き交渉もなし、キャッシュで買った。あと10年は乗るだろうな。あちこち傷だらけだけど、もう手放せないよ」とのことでした。

仕事場のワンルームマンションも大学時代に購入してから今も使っているし、ジムで来ているTシャツもボロボロになってもまだ変えない。物欲がないんですか? と聞いてみたら、「ない訳ではない。自分を成長させてくれるモノ、コトに関しては惜しまず投資するよ」とのことでした。
その証拠に、これまで稼いだ印税で6隻もクルーザーを乗り替えてきたそうです。って、いくら使ったんですか!! 今後の夢は、150フィートのメガヨットを購入して大海原に航海に出ることだそうです。さすがに、夢もでっかい!
光司さんと話すと、いつも勇気をもらえます。ありがとうございました。